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よくある誤解

AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)には多くの誤解があります。回復へ繋がる第一歩のため、まずは正しい知識を持ちましょう。

よくある誤解①

「AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)は単にお酒が好きなだけ?

毎日お酒を飲んでいる人や、たくさん飲む人は「お酒が好きなだけ」と思われがちです。実際に、本人もAUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)の自覚はなく「楽しく飲んでいるだけ」「お酒に強い体質だ」などと感じていることもあります。お酒好きな人と、AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)の患者さんとの違いは、本人の意志でお酒の量や頻度をコントロールできるかどうかという点にあります。しかし、AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)は進行性の疾患のため、実際にはその線引きは曖昧であり、ご自身では飲酒をコントロール出来ていると思っていても、いつの間にか重度の症状になっていたというケースも多くあります。これらの思い込みは、早期治療を困難にする原因の一つとなっています。単にお酒好きだと思っていたけれど、意識していてもつい飲みすぎてしまうな…と飲酒に関してお悩みを感じたら、早めに医療機関や行政機関に相談することが大切です。

よくある誤解②

お酒を飲むことをやめられないのは、意志の弱さが原因?

お酒を飲むことは、「やめようと思えばやめられるはず」「意志が弱い」「だらしがない」。AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)はそう誤解されることが多い疾患です。しかし実際には、意志の弱さや性格とは関係なく起こる脳の変化に関連した精神疾患です。お酒を飲む習慣や遺伝的体質に影響を受けて発症し、「減らしたいのに減らせない、やめられない」という状態になり、ご本人の意志だけで飲酒をやめることは困難です。だからこそ、周囲の理解と支援、専門的な治療が必要です。

よくある誤解③

「自分は酔って暴れたり人に迷惑をかけていないから依存症じゃない?」

AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)というと、お酒に酔って暴言を吐き、暴力をふるったり、人に迷惑をかけたりするというイメージを持っている方も多いと思います。しかし実際には、抱えきれない心の傷や疲れを癒すために、孤独に淡々と飲酒しているうちに大量の飲酒習慣から依存症に陥るケースも多く、お酒を飲む習慣があれば誰にでも発症する可能性がある疾患です。

監修者プロフィール

湯本 洋介先生(独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター精神科)

精神保健指定医、精神科専門医・指導医。2006年福井大学医学部医学科卒業。東京都立松沢病院にて精神科専門研修を修了。松沢病院に勤務時より、依存症医療に携わる。2014年より、独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センターでアルコール依存症を中心に診療に従事。2017年に開設された減酒外来も担当している。