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知りたいQ&A

AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)について、知っておきたい内容を紹介します。

  • Q AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)とは何ですか?
    A

    AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)は、お酒を飲みすぎることで、脳のはたらきが変わっていき、自分でお酒をやめることが難しくなっていく進行性の疾患と言われています。お酒をどうしても飲みたいという強い欲求「渇望」、以前と同じ量で満足できなくなる「耐性の形成」、お酒を飲むことをやめた時の「離脱症状の出現」といった症状が特徴の精神疾患です。これらの症状のために、身体的、精神的、社会的な障害や苦痛が生じることがあります。

    「AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)とは?」をチェック

  • Q AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)とアルコール依存症の違いはなんですか?
    A

    AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)とアルコール依存症は密接に関わっています。AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)は、アルコール乱用やアルコール依存症といった状態もすべてふくむ、広い考え方です。そのなかでも特に重症の方をアルコール依存症と定義しています。

    「AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)とは?」をチェック

  • Q 自分や家族がAUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)かどうか、どうやって判断できますか?
    A

    スクリーニングテストなどのチェックツールを用いると現在の飲酒習慣の危険度を客観的に見つめることができます。以下のリンクでは、アルコール使用障害スクリーニングテスト(AUDIT)を紹介しています。ご自身やご家族の飲酒問題度をはかるために、確認してみましょう。一方で、「AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)」かどうかの線引きにこだわることなく、「少しでも不安がある」「減らそうと思っても減らせない」と感じている状況であれば、医療機関や相談窓口を訪れ専門家に判断してもらうことも大切です。

    ご自身やご家族の飲酒問題度をチェックするスクリーニングテストをやってみましょう。

    「AUDチェックシート(AUDIT)」をチェック

  • Q AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)およびアルコール依存症は治りますか?
    A

    適切な治療によって回復し、安定した生活を送ることが可能です。しかし、一時的にお酒を飲む量を減らすこと、断酒することができたとしても、数ヶ月から数年の間に、もとの問題ある飲み方に戻ることはよくあります。治療をいつまで続けるか、いつを終了とするかは、医師と十分に話し合ったうえで決める必要があります。

  • Q 治療を始めるにはどうしたらいいですか?
    A

    医療機関や精神保健福祉センター、保健所などの行政機関に相談しましょう。本人が相談する心の準備ができていなかったり、受診が難しい場合はご家族のみの相談も可能です。
    こちらのページから近くの病院を探すこともできます。

    「病院を探す」をチェック

  • Q 治療にはどのくらいの費用がかかりますか?
    A

    通院治療・入院治療のどちらにも健康保険が適用されます。自己負担が3割の方の場合、初診では約3,000円前後の費用がかかります。

    実際の費用は、各医療機関や受ける検査・処置の内容、処方薬の有無などによって異なります。保険適用外の自由診療として診断や治療を行なっている医療機関もあるため、詳細は各医療機関へご確認ください。

    また、自立支援医療(精神通院医療)制度は、通院が必要な方の医療費自己負担を1割に軽減し、所得に応じて上限も設けられている制度です。再発予防の通院も対象になることがあります。詳しくは医療機関や自治体窓口にお問い合わせください。

    今日の臨床サポート|診療報酬点数を2025年7月15日参照

    「医療機関での治療」をチェック

  • Q AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)の治療にはどんなものがありますか?
    A

    断酒(お酒をやめる)または減酒(お酒を減らす)といった治療目標があります。重症度や本人の希望を考慮したうえで、どちらの目標を選択するか医師と決定します。断酒が最も安全な治療目標ですが、以下にあてはまらない場合にはお酒の量を減らす減酒も選択可能です。

    【断酒を選択すべき患者】

    • 入院による治療が必要な患者さん
    • お酒を飲むことに伴って生じる問題が重篤で社会・家庭生活が困難な患者さん
    • 臓器障害が重篤でお酒を飲むことにより生命に危機があるような患者さん
    • 現在、緊急の治療を要するアルコール離脱症状(幻覚、けいれん、振戦せん妄など) のある患者さん
    • 断酒を希望する患者さん

    このような治療は、疾患への理解を促し、患者さんの思考や行動パターンに注目して支援する心理社会的治療が中心となります。補助的に薬物療法を用いることもあります。

    飲酒量低減治療マニュアル ポケット版【第1版】2019年11月を2025年6月26日に参照

    「AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)とは?」をチェック

  • Q 家族がAUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)やアルコール依存症の疑いがある場合、どうサポートすればよいですか?
    A

    異変に気が付いたら、医療機関や精神保健福祉センターなどに相談してください。また、ご家族の症状を疾患によるものだと捉えAUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)やアルコール依存症について正しい知識を身につけることが大切です。依存症についての理解を深めるために厚生労働省が公開している漫画もおすすめです。

    「ご家族やご友人の方へ」をチェック

  • Q 治療を始めると、どれくらいで治りますか。
    A

    重症度や本人のアルコールに対する知識、認識によって治療にかかる期間は様々です。減酒治療では、飲酒量低減治療マニュアルに基づき、治療開始から12か月時点で治療が順調に進んでいると判断された場合、その後6か月の経過観察を行います。
    断酒治療の場合も、断酒が成功したと思っていても、再び問題のある飲み方に至ってしまうケースも多いため、少なくとも減酒目標と同等以上の治療継続が必要となります。
    適切な治療を受けることによって、回復し、安定した生活を送ることができますので、あきらめずに治療を続けることが大切です。

    飲酒量低減治療マニュアル ポケット版【第1版】2019年11月を2025年6月26日に参照

    「医療機関での治療」をチェック

  • Q 放置するとどうなりますか。
    A

    AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)を放置すると、心身への負担が積み重なり、アルコール性肝障害(肝炎や肝硬変など)、心血管疾患(高血圧や心筋症など)、がん(食道がん、肝臓がん、乳がんなど)といった重篤な病気を引き起こす可能性が高まります。
    また、社会的な影響も大きく、家族や職場など人間関係のトラブルが増え、配偶者との不和や離婚、育児放棄や児童虐待など家庭内の問題にもつながりかねません。さらに、就労が困難になり離職に至るケースもあります。身体と生活を守るためにも、できるだけ早く医療機関に相談することが大切です。

    「合併症のリスク」をチェック

  • Q AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)およびアルコール依存症はどんな人に多いですか?
    A

    お酒を飲む習慣のある人であればどのような人でも発症する可能性がありますが、遺伝的影響も大きいと考えられています。また、アルコールが簡単に手に入る環境や、お酒を飲むことを推奨する環境などの環境要因も大きく影響します。

    「アルコールの影響を受けやすい方」をチェック

監修者プロフィール

湯本 洋介先生(独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター精神科)

【湯本 洋介(ゆもと ようすけ)先生プロフィール】
独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター精神科
精神保健指定医、精神科専門医・指導医。2006年福井大学医学部医学科卒業。東京都立松沢病院にて精神科専門研修を修了。松沢病院に勤務時より、依存症医療に携わる。2014年より、独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センターでアルコール依存症を中心に診療に従事。2017年に開設された減酒外来も担当している。