専門医のサポートで自分に合った減酒を。週2日の休肝日と記録で変わった毎日

通院 / 40代 / 男性 / 本人

事務職として働くCさん(47歳/男性)は、お酒が好きな両親のもとで育ち、社会人になってからは毎日自宅で飲酒することが習慣になっていました。飲酒にまつわる大きな失敗はないものの、お酒に頼る日々を自覚していました。妻の勧めをきっかけに専門クリニックの門を叩き、医師と相談しながら減酒治療をスタート。現在は飲酒量を以前の約半分にまでコントロールできるようになり、自身の健康を客観的に見つめ直す機会を手に入れたCさんのストーリーをお届けします。

お酒は私にとって「楽しい時間」をつくる存在。気づけば毎日の習慣に

――最初に、お酒を日常的に飲まれるようになったきっかけを教えてください。

最初にお酒を口にしたのは大学生のときで、サークルやアルバイトの仲間と一緒に飲む程度でした。当時はそれほど頻繁に飲んでいたわけではなかったんです。本格的にお酒の量が増えたのは、社会人になってからですね。もともと体質的にお酒が強かったことに加え、私の実家はお酒に対して非常に寛容で、家族みんなでお酒を囲んで楽しく過ごす習慣がある家庭でした。父親も母親もお酒が大好きでよく飲む人たちなので、「みんなで一緒に飲もう!」という雰囲気があり、私も自然とお酒が好きになっていきました。気づいたら毎日飲むようになり、23歳頃にはすでに飲酒が習慣化していました。

――ご結婚されてからも、その習慣は続いていたのですか?

はい。妻もお酒を結構飲む人なので、結婚してからも家の中で誰も飲酒を止める人がいない状態でした。それに、私はとにかく食べることが大好きで、早食いになってしまい、食事を10分足らずで終えてしまうんです。食事がすぐ終わってしまうのがどうしても寂しくて、お酒を飲みながらだらだらとおつまみをつまんでいる時間が、私にとってのストレス解消であり、楽しい時間になっていました。逆にお酒を飲まないと夜にやることがないと感じるほど、生活の一部になっていました。毎日だいたい焼酎のソーダ割りを10杯くらい飲んでいましたね。

――Cさんにとって、当時お酒はどのような存在だったのでしょうか?

実は、私はもともと少し寡黙というか、自分から積極的にしゃべるタイプではないんです。でも、お酒を飲むと顔にはあまり出ないものの、自然と陽気になれて、会話が弾むようになるのが嬉しかったんですね。いつもと違う少し賑やかに話せる自分の状態が心地よくて、それがお酒を好むようになったというのもあったと思います。それに、私は嫌なことがあるとそれを引きずって家に持ち帰ってしまう性格なのですが、お酒を飲むと嫌なことも忘れられて、少しテンションを上げることができました。当時はお酒が、自分を少し変えてくれて、日々のストレスをリセットしてくれる、手放せない味方のような存在だったのだと思います。

仕事に支障はなくても、薄々感じていた「やめられない」という自覚

――毎日お酒を飲まれるなかで、生活や体調、お仕事への影響などはありましたか?

仕事で寝坊したり、問題を起こすような失敗はありませんでした。そのため、自分では「深刻な状態ではない」とやり過ごしてしまっていました。ただ、お酒を飲んだあとは忘れ物が多いような気がします。新幹線に財布を置き忘れたり、電車を寝過ごしたりといった失敗はありましたね。何より、「今日は飲むのをやめておこう」と思ってはいても、結局飲まずにはいられないんです。毎日お酒が手放せない自分に対して、「自分ではお酒をやめられないかもしれない」ということは、頭の片隅で薄々自覚していました。

――問題意識を感じていたのですね。お酒を減らすために、当時ご自身で取り組まれたことはありましたか?

自力でお酒をやめることができるか試してみたくて、1週間の休肝日を設けたことがありました。実際に1週間お酒を断つことはできたのですが、睡眠が少し良くなったかなと感じる程度で、それ以外のメリットがあまり実感できなかったんです。お酒を我慢してやめるだけの価値を見出せず、結局元の生活に戻ってしまいました。

妻が教えてくれた専門外来と、病院で感じた「あたたかい雰囲気」

――自力でお酒と向き合い、コントロールを続けることの難しさを実感されたのですね。そうして元の生活に戻るなかで、受診を考えるようになったきっかけはあったのでしょうか?

私が仕事で忙しくなったり、大きなストレスを抱えたりすると、お酒の量が一段と増えてしまうことを、妻が心配してくれていたんです。数年前から「少しお酒を減らした方が良いのではないか」と言われていました。そんなある日、妻がテレビを見てAUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)を扱う専門外来があることを知り、「こういう病院へ行ってみたら?」と勧めてくれたのが、受診を決めたきっかけです。

――精神科や専門のクリニックに足を運ぶことへの抵抗や、初診時の緊張はありましたか?

私は過去にメンタルクリニックの受診経験があったため、病院を頼ることへのハードルはそれほど高くありませんでした。クリニックに行くと、先生が「よく受診を決断してくれましたね」と、あたたかくウェルカムな姿勢で迎えてくれたのが印象的でした。病院でのピリピリした空気は一切なく、良い意味で病院っぽくはない印象でした。先生と自分のお酒周りの話を色々したり、丁寧な問診をしてくれたので、不安が少しずつ解消されました。

――初診ではどのような診察を受け、治療計画を立てていったのでしょうか?

先生とじっくり30分ほど、普段お酒を飲んでしまう理由やこれまでの生活背景についてお話ししました。私の場合は、毎日飲む純アルコールの量が100g程度(焼酎をメインに10杯程度飲むレベル)に達していたため、これをまずは「1日50g」に減らすことを最初の目標に設定しました。また、先生は私の意思を尊重してくれ、無理に投薬や断酒を勧めるのではなく、「まずは入り口として始めやすい方法からいきましょう」と、日々の飲酒量を記録するアプリから始めてみました。

飲酒量を記録して見える化。小さな達成感が減酒を続ける力に

――日常の治療は、どのように進められましたか?

毎日自分が飲んだお酒の量を記録していきます。私自身、1回お酒を飲み始めると止まらなくなって、つい飲み続けてしまうんです。自分の意志の力だけではセーブがきかないと分かっていたので、曜日や状況でルールを固定する週2日の休肝日を設定しました。具体的には仕事が休みの土日どちらか1日と、在宅勤務の日はお酒を飲まない日にすると決めたんです。在宅勤務の日は仕事のストレスが比較的少ないため、この日を減酒に充てることで、無理なくルールを継続できています。

――休肝日にお酒が恋しくなったときは、どのようにして乗り越えられたのでしょうか?

「炭酸水」で飲みたい気持ちを紛らわせています。普段は焼酎を炭酸割りにして飲むことが多いので、お酒を飲まない日は、自宅の炭酸水メーカーで作った強炭酸水をひたすら飲んでいます。アルコールが入っていなくても、冷たい炭酸水のシュワシュワとした刺激でお腹をいっぱいに満たすことで、「お酒を飲みたい」という衝動をやり過ごすことができました。

――減酒を続けるなかで感じたモチベーションについて教えてください。

妻は、お酒の量が目に見えて減っていることを喜んでくれています。また、飲酒量をアプリに記録することで、お酒の量や休肝日の達成状況がグラフで客観的に「見える化」されるため、意識して確認するようになりました。たくさん飲みすぎてしまった日は、記録するのが少し億劫になることもありますが、お酒をうまくコントロールできた日がグラフに反映されると、達成感のようなものを感じます。

減酒を通して「やればできる」という自信と、検査で手に入れた安心感

――治療を始められてから、飲酒の状況や心身にはどのような変化がありましたか?

以前は純アルコール量でいうと100gくらい毎日飲んでいましたが、今では医療機関のサポートを受けつつ週2日の休肝日を守れていることもあり、目標だった約半分の50g程度にまで減らすことができています。「自分もちゃんと減酒できるんだ。やればできるじゃないか」と、自分に対する自信や可能性を感じられるようになりました。体調面で最も実感している変化は、やはり「睡眠の質」です。休肝日を設けた夜は、以前のように夜中に途中で目が覚めることもなく、朝までぐっすりと深く眠れるようになり、目覚めたときのスッキリ感が違いますね。

――治療のなかで、健康診断以上に詳しい身体の検査も受けられたそうですね。

はい。血液検査のほか、体組成計での精密な測定も受けることができました。結果、懸念していた肝臓の数値も異常なしであることが分かり、安心することができました。先生から「問題ないですよ」と言ってもらえたのは自分にとってすごく大きかったですね。それと、先生から「肝臓は回復する臓器だから」ということを教えてもらったことが、これからも長くお酒をコントロールしていこうという励みになりました。

受診のハードルは思っているほど高くない。健康のための「前向きな選択肢」を

――最後に、お酒に悩みながらも、病院への受診に迷っている方へメッセージをお願いします。

「自分の飲み方は病院へ行くほどのものではない」「まだ大きな問題は起こしていない」と思う気持ちは、私自身もそうだったので、よく分かります。でも、少しでも「減らしたいのにやめられない」と感じることがあるなら、あまり気負わずに、気軽に専門外来を訪れてみてほしいと思います。先生も「病院に行くまでのハードルが高い」と言っていましたが、実際に受診してみると決してハードルの高いものではありませんでした。病院にもよると思いますが、私がお世話になっている先生は温かく迎えてくださり、飲酒習慣を見つめ直すための前向きな話をしてくれています。

専門家である先生が伴走してくれて、自分の状態や希望に合わせて治療を提案してくれる。さらに、保険診療で受けられるということを考えると、長い人生を健康に過ごすための、とても有意義な選択肢だと思います。「ちょっと話を聞いてもらおう」くらいの軽い気持ちで、まずは専門の先生に相談してみてください。そこから、新しい一歩を踏み出せるのではないかと思います。

 
  1. ※本記事は個人の体験談であり、治療の経過や効果、取り組みなどには個人差があります。
  2. ※記事内の医学的な内容については、監修医による確認を行っています。
  3. ※お酒との付き合い方や健康への影響にお悩みの方は、特定の症状だけで自己判断せず、必ず専門の医師による診察を受けてください。

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